Jリーグの29年目のシーズンが終わりに近づきつつあり、来週12月4日が最終節となる。いよいよ来年は1993年に初年度のリーグ戦が始まってから30年目の節目のシーズンになる。
Jリーグ誕生前は球技のプロフェッショナルスポーツといえばプロ野球くらいで、当時のサッカーの日本最高峰だった日本サッカーリーグは閑古鳥がなくスタジアムで試合をしていたニュースにもならないような地味な存在で、自分も小さい時に2,3度観戦した記憶は、その寂しい記憶が強く残っている。1990年代に入り、にわかにサッカーにブームが訪れ、1993年5月15日のJリーグ開幕、1993年10月28日のドーハの悲劇で今では考えられないくらいのサッカーの熱狂的なブームが一つの頂点を迎えていたように記憶している。
それ以降も、熱狂的なブームは過ぎ去って、バブル崩壊という日本経済の逆境のあおりを受け、厳しい状況に陥るクラブも何度も現れた。ただ、サッカー日本代表を頂点に、W杯初出場への道のり、数々のスター選手の輩出、2002 FIFAワールドカップ(日韓ワールドカップ)の開催など、追い風が会ったこともあり、2001年以降の平均観客動員数は年によって上下はあるが、長期的に見れば右肩上がりの状況であった。
しかし、2020年の新型コロナウイルス感染症による影響により、収入の三本柱である放映権収入、広告収入、観客収入のうち、観客収入が大きく落ち込みもあり、以下の記事のような厳しい状況になっている。
Jリーグ53クラブ、経営情報開示 20年度の営業収益は230億円減…単年度赤字は34クラブ
3月決算である柏、湘南、磐田を除く53クラブの20年度経営情報を先行発表Jリーグは28日、2020年度のクラブ経営情報を開示した。今回はJ1~J3の全56クラブのうち、3月決算である3クラブ(柏レイソル、湘南ベルマーレ、ジュビロ磐田)を除く53クラブを発表。新型コロナウイルス感染拡大の影響で営業収益は前年度と比較し230億円の減少、単年度赤字クラブは34クラブ、債務超過に陥るクラブは10クラブとなった。Jリーグの発表によると、20年度の営業収益は53クラブ合計で998億円。コロナ禍による財政面へのダメージは避けられず、前年比で230億円の減少となった。入場料収入に関しても、無観客試合、来場者数に上限を設けての有観客開催となったため前年比で約6割減少の79億円(前年比-123億円)にとどまっている。単年度の赤字クラブ・債務超過クラブについてはそれぞれ34クラブと10クラブ。赤字クラブの当期純損失額で、5億円以上を計上したのはJ1で5クラブ、J2で1クラブとなっており、債務超過クラブの債務超過額で5億円以上だったのはJ1の2クラブとなった。なおJリーグは、コロナ禍の影響を考慮し、2021年度末までは特例措置を継続し、債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象とせず、21年度末に新たに債務超過に陥っても判定対象としない旨を発表している。2020年度の単年度の赤字クラブ・債務超過クラブは以下の通り。
【単年度赤字34クラブ】札幌、仙台、鹿島、浦和、FC東京、川崎、名古屋、G大阪、C大阪、広島、鳥栖、大分、山形、水戸、千葉、東京V、甲府、金沢、岡山、山口、福岡、長崎、琉球、岩手、秋田、YS横浜、相模原、長野、藤枝、沼津、鳥取、讃岐、熊本、鹿児島
【債務超過10クラブ】仙台、C大阪、鳥栖、東京V、山口、福岡、秋田、YS横浜、長野、鳥取
Football ZONE WEB 2021.05.28
30年前にはなかった、バスケットボールやラグビーなど様々なプロフェッショナルのスポーツ、eスポーツなどのプロフェショナル競技など溢れるコンテンツ全てが競争相手になり、この変化の激しい時代に取り残されてしまう可能性もなきにしもあらずではある。収益をあげることが全てではないが、かといって、長く持続させるには収益は必ず必要になる。
気になってJリーグ百年構想を見てみた。
Jリーグ百年構想
● あなたの町に、緑の芝生におおわれた広場やスポーツ施設をつくること。
● サッカーに限らず、あなたがやりたい競技を楽しめるスポーツクラブをつくること。
●「観る」「する」「参加する」。スポーツを通して世代を超えた触れ合いの輪を広げること。
誰もが気軽にスポーツを楽しめるような環境が整ってはじめて、豊かなスポーツ文化は育まれます。そのためには、生活圏内にスポーツを楽しむ場が必要となります。そこには、緑の芝生におおわれた広場やアリーナやクラブハウスがあります。誰もが、年齢、体力、技能、目的に応じて、優れたコーチのもとで、好きなスポーツを楽しみます。「する」「見る」「支える」、スポーツの楽しみ方も人それぞれです。
世代を超えたふれあいの輪も広がります。自分が住む町に「地域に根ざしたスポーツクラブ」があれば、こんなスポーツライフを誰もが楽しむことができます。このようなJリーグの理念を分かりやすく訴求するために、Jリーグは「Jリーグ百年構想~スポーツで、もっと、幸せな国へ。」というスローガンを掲げ、「地域に根ざしたスポーツクラブ」を核としたスポーツ文化の振興活動に取り組んでいます。
Jリーグ百年構想
あらためて見てみると、人口減少、地方の過疎化、高齢化が進でいる日本において、百年構想を計画するJリーグが今後どうなるかいっそう気になってきた。