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COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)に関連して、太陽光発電に関する最近のトピック

最近ニュースを見かけるCOP26に関することを少し調べてみた。少しくどく長々しくなってしまったが。太陽光発電の気になるトピックも。

COPに関する元々の歴史的な流れも含む説明としては、環境省に以下の記載があります。

 1992年に世界は、国連の下、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目標とする「気候変動に関する国際連合枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change)」(以下「国連気候変動枠組条約」とする。)を採択し、地球温暖化対策に世界全体で取り組んでいくことに合意しました。同条約に基づき、1995年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されています。また、1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)では、我が国のリーダーシップの下、先進国の拘束力のある削減目標(2008年~2012年の5年間で1990年に比べて日本-6%、米国-7%、EU-8%等)を明確に規定した「京都議定書」(Kyoto Protocol)に合意することに成功し、世界全体での温室効果ガス排出削減の大きな一歩を踏み出しました。 更に今般、2015年にフランス・パリで開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、気候変動に関する2020年以降の新たな国際枠組みである「パリ協定」(Paris Agreement)が採択されました。 パリ協定には、世界共通の長期目標として2℃目標の設定や、すべての国による削減目標の5年ごとの提出・更新、各国の適応計画プロセスと行動の実施、先進国が引き続き資金を提供することと並んで途上国も自主的に資金を提供すること、共通かつ柔軟な方法で各国の実施状況を報告・レビューを受けること、JCMを含む市場メカニズムの活用等が位置づけられています。 日本政府は、パリ協定を踏まえた今後の対策の取組方針を2015年12月22日に決定しました(地球温暖化対策推進本部決定)。この中で、国内対策として、パリ協定の2℃目標等を踏まえ、我が国としても世界規模での排出削減に向けて長期的、戦略的に貢献すること、COP21に先立ち我が国が国際的に約束した目標(約束草案)の着実な実施に向けてこの春までに地球温暖化対策計画を策定することと政府実行計画を策定すること、政府が旗振り役となり国民運動を強化すること、更にパリ協定の署名・締結・実施に向けた取組を進めること等を決定したところです。 またパリ協定の長期目標及び条約の究極目標を達成するには、あらゆる部門において多大な努力が必要となります。

環境省 気候変動の国際交渉

今回はCOPの第26回目の会議ということになる。ちなみに、1995年以降、毎年開催され、COP3以降は10月から12月の間に開催されているようです。(昨年は新型コロナウイルスにより例外的に開催中止となった。)

化石燃料から持続可能なエネルギーへという大きな流れについてSDGs「7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は

7: すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

7.1 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.3 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率、および先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究および技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国および小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。

となっている。ここにある、持続可能な近代的エネルギーとして、再生可能エネルギーが注目されている。ちなみに再生可能エネルギー、ってそもそも何だろう?と疑問に思い調べてみると、以下の記載が見つかった。

 再生可能エネルギーの定義

 再生可能エネルギーの定義エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)においては、「再生可能エネルギー源」について、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されており、政令において、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマスが定められています。

経済産業省 資源エネルギー庁 再生可能エネルギーとは

昔から単純に、全世界のありとあらゆるスペース、全ての屋根の上に太陽光パネルを設置すれば解決するのでは、なんて思っていたが、もちろん設置費用、自然エネルギーであるための不安定性、安定させるための蓄電システムをどうするのか、山間部などに設置した場合の自然環境や災害発生への影響など大小様々な問題が本当に数多くある。

しかし、いったいどれくらいの面積が必要なのか、というのが知りたいところであったが、最近、natureに研究者が予測を発表したのがとても興味深い。

 2021年10月14日 08時00分サイエンス 世界の全電力を太陽光発電でまかなうにはどのくらいの屋根にソーラーパネルを設置する必要があるのか?

化石燃料に代わるグリーンエネルギーの技術開発が世界中で模索されており、太陽光発電もその1つです。ソーラーパネルを建物の屋根に設置することは太陽光発電を行う方法として一般的ですが、世界中の電力を太陽光発電でまかなうには、果たしてどれくらいの建物の屋根にソーラーパネルを設置する必要があるのか、研究者が予測を発表しました。

High resolution global spatiotemporal assessment of rooftop solar photovoltaics potential for renewable electricity generation | Nature Communications https://www.nature.com/articles/s41467-021-25720-2

Solar panels on half the world’s roofs could meet its entire electricity demand – new research https://theconversation.com/solar-panels-on-half-the-worlds-roofs-could-meet-its-entire-electricity-demand-new-research-169302

太陽光発電のコストは急速に下がっており、2010年に比べると79%も安くなっています。このため電気への依存を絶ち、脱炭素化したい企業や個人にとって太陽光発電はより現実的な選択肢となっていますが、一方で、全ての家庭や企業が屋根の上にソーラーパネルを設置したとして、地球上で必要になる全ての電力をまかなえるのか?という問題も存在します。 アイルランド国立大学コーク校でグローバルエネルギー工学について研究するSiddharth Joshi氏ら研究チームは、この問題に取り組むべく、世界中の建物の屋上面積と日照について評価を行いました。 研究チームは、地球上のほぼ全ての地表にあたる1億3000万キロ平方メートルの土地と、3億軒の建物のデータを統合するプログラムを構築。陸上に存在する合計20万平方キロメートル分の屋根で生成できるエネルギーがどれくらいあるかを調べました。なお、20万平方キロメートルという数字はイギリスの面積とほぼ同じとのこと。 その後、研究チームは屋根ごとの電力生成ポテンシャルを、その所在地から計算しました。一般的に、ヨーロッパやカナダなど高緯度の場所に位置する屋根は、夏と冬の日照時間の差が大きく、季節によって発電量が40%も変動する可能性があります。一方で赤道近くの場所に位置する屋根は安定した日照を受けられるため、季節によって電力量の変化がほとんど生じません。このため季節によって電力生成ポテンシャルが変動する場所では電力を貯蔵する方法が必要になり、電気代が増加します。

調査の結果、まず、「1年間に全世界が必要とする電力」を供給するためにソーラーパネルを設置する必要がある屋根は、全体の50%であることがわかりました。また、インドや中国は日当たりの良さに加え、ソーラーパネルの製造コストが非常に安いことから、最もコストパフォーマンスよく太陽光発電が行えるとのこと。コストパフォーマンスが悪いのは日本・イギリス・アメリカの3国で、ヨーロッパ諸国はその中間に位置します。エネルギー消費が激しい都市部でソーラーパネルによる太陽光発電を利用すると、化石燃料による発電が減り、大気汚染に歯止めをかけることができます。また遠隔地では安定した電力網がないことも多く、太陽光発電が重要な電力源となり得ます。一方で、太陽光は昼間しか得られないため、太陽光が得られない時間帯に電力を使うには、電力を貯蔵するシステムが必要であり、これらは依然として高価です。それでも、太陽光発電は都市部・遠隔地の両方にメリットを提供するため、屋上へのソーラーパネル設置は電力供給の重要な方法となります。今回の研究は、屋根にソーラーパネルを設置するにあたっての詳細な地図を提供するものとなると研究者は述べました。

Gigazine 2021年10月14日 08時00分

世界中の建物の屋根うち、その50%にソーラーパネルを設置すれば、「1年間に全世界が必要とする電力」を賄える。設置するのは、日本、英国、米国はコスパが悪い、という内容でした。また、屋根だけではなく、様々な場所に設置できるフレキシブルな太陽電池の開発も進んでいるようです。

「街全体を発電所」に変える潜在力 東芝の新型太陽電池「フィルム型ペロブスカイト」の実力

東芝は9月、大面積フィルム型ペロブスカイト太陽電池で世界最高となる15.1%のエネルギー変換効率を実現したと発表した。ペロブスカイト太陽電池とは、「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶構造の材料を用いた新しいタイプの太陽電池で、現在太陽電池として広く普及しているシリコン型太陽電池に匹敵する高い変換効率を達成できるという。2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発案した日本発の技術で、宮坂氏はノーベル賞の有力候補でもある。

Yahoo!ニュース 11/2(火) 10:29配信

仮に、将来的に太陽光で全てのエネルギーを賄うことが可能な状態になったとしても、集中によるリスクが伴うためリスク軽減のための分散が必要になる。

未来は誰にもわからない。例えば、大規模な火山噴火のため地球全体に降り注ぐ太陽光のエネルギーが激減する、といったリスクを考えると、化石燃料による発電、原子力エネルギーの発電などの様々な発電方法もバックアップ・選択肢として、残っていくのだと思う。

これまでにない全く新しい、革命的な持続可能なエネルギーが見つからない限り。