小笠原諸島の海底火山、福徳岡ノ場の噴火の噴出物とみられる軽石が、沖縄・奄美の各地に流れ着いている。漁業や環境、観光に大きな影響が出始めている。噴火の時はあまり大きなニュースになっていなかったが、実は福徳岡ノ場の噴火は戦後最大級だったとのこと。
ニュースなどで時系列に追ってみると、まずは噴火は2021年8月13日未明に発生し、15日までに海底噴火、噴煙、 軽石漂流、直径約1kmの新島が形成されたようだ。
ひまわり8号衛星画像/動画2021年8月13日未明に噴火が始まった福徳岡ノ場海底火山の噴煙の様子を捉えたひまわり8号衛星画像を提供します。
デジタル台風:2021年福徳岡ノ場海底火山噴火
2021年8月13~15日、小笠原諸島の硫黄島の南方約60㎞に位置する海底火山である福徳岡ノ場ふくとくおかのば火山(日本の火山データベース)で高い噴煙を立ち上げ、多量の軽石を噴出する大規模な噴火が発生しました(写真1)。この噴火で発生した多量の軽石は、海流にのり約2ヶ月をかけて1300kmほど離れた南西諸島に漂着し始めました。
産総研 福徳岡ノ場火山2021年
沖縄・奄美で軽石に関するニュースは喜界島に関するものが早い時期のニュースと思われる。
「喜界島に軽石が大量漂着 1200キロを漂流 海底火山噴火が影響か」
奄美の南海日日新聞 10/12(火) 13:02配信
鹿児島県喜界島の東海岸に大量の軽石が漂着していることが10日までに分かった。住民が確認した。軽石は大きなものでこぶし大。志戸桶の海岸では一面に広がっている。鹿児島地方気象台は小笠原諸島の海底火山・福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)が8月に噴火した影響で軽石が漂着したとみている。喜界島と海底火山とは直線距離にして約1200キロ。喜界町役場は「これほど大量の軽石が漂着したのは初めてではないか」と話している。
さらに奄美大島に関するニュース
「奄美大島にも大量の軽石漂着 太平洋沿岸、海面と浜が灰色に」
奄美の南海日日新聞 10/13(水) 13:01配信
鹿児島県喜界島に漂着した大量の軽石に関して12日、奄美大島でも似た漂着物が確認されていることが分かった。各自治体によると、漂着した軽石が見つかっているのは奄美市、龍郷町でいずれも太平洋沿岸。住民から情報提供があり、各役場担当者が現場を確認した。
そして、本島、与論島に関するニュース
「1450キロ離れた沖縄本島にも「軽石」漂着 小笠原の海底火山噴火の影響か」
琉球新報 10/14(木) 11:52配信
沖縄県の離島・北大東島に大量に押し寄せていた軽石が、沖縄本島北部の国頭村安田の海岸にも漂着しているのが14日午前、確認された。
「与論島にも大量の軽石漂着 海底火山噴火の影響か」
奄美の南海日日新聞 10/15(金) 13:02配信
鹿児島県の喜界島や奄美大島に大量の軽石が漂着しているのが確認されているが、与論島でも14日、同様の漂着物が確認されていることが分かった。同町によると、漂着物が見つかっているのは島の東側の大金久海岸と北側の黒花海岸。町の海岸清掃スタッフが13日午後2時ごろに発見し、町担当者が14日に確認した。
今後の影響については
「沖縄 魚の大量死も「軽石」影響 四国~本州にも近づくおそれ
NHK NEWSWEB 2021年10月25日 17時49分
8月の大規模な噴火のあと、沖縄や奄美に流れ着いた軽石は時計回りに旋回し、11月上旬にかけて、四国付近の沖合まで進むとみられています。
そして、11月の末ごろにかけて、軽石の一部は日本の南を大きく蛇行したあと、再び東海道沖に北上して関東など、本州の南岸にかなり近づくと予想されています。 海洋研究開発機構の美山透主任研究員は「今の時期は黒潮の影響で大きく蛇行し、東海や伊豆諸島まで軽石が流れる可能性がある。まだしばらくは軽石の漂流が続くとみられ注意してほしい」としています。
さらに被害が拡大する可能性があるという。自然環境、また、漁業や農業など人間活動への影響が最小限になることを願っている。
軽石が漂流する速さであるが、おおよその計算になってしまうが、10月10日に喜界島に漂着したとした場合、
・日数:58日(1,392時間)
・距離:約1,230km(GoogleMapより算定)
として計算すると、軽石の移動速度はおおよそ
・0.88 km/h
というゆっくりとした速度である。しかし、これが黒潮に乗ると、黒潮のスピードは毎秒2mを超えるということで、時速に直すと約7km/h。これまでの約1km/h 弱だったスピードから急加速して、11月上旬には四国付近の沖合まで進む、ということになってしまうようだ。