昨日(10月5日)19時頃、真鍋淑郎氏が「地球温暖化を予測する地球気候モデルの開発」によりノーベル物理学賞というニュースが入ってきた。9月22日のブログに「久しぶりに日本人の物理学賞の受賞があるのか」ということを書いたが、物理学賞ではあるが今までに受賞実績のない気象分野という、想像していない朗報が届いた。
○CiNii Articles – 日本の論文をさがす – 国立情報学研究所
でお名前の「真鍋淑郎」で検索すると、ざっとどんなことを研究していたのかがわかる。一番古い1955年の論文に
・二重フーリエ級数による数値予報
・偏西風波動の発逹及びエネルギーについて
などがあり、論文本文もPDFで無料で見ることができる。(日本語ではなく英語です。)また、
○CiNii Dissertations – 日本の博士論文をさがす – 国立情報学研究所
でお名前の「真鍋淑郎」で検索すると、
・凝結現象の綜観的研究(学位授与年月日 1958-11-14)
が博士論文のタイトルであることがわかる。
また、自分が読んだ本の中で以下の記述があった。
当初、大気大循環モデルの開発はアメリカの研究所で行なわれましたが、そこでは多くの日本人が中心的役割を担って活躍していました。アメリカ海洋大気庁の地球流体力学研究所に在籍し、大気に加えて海洋の動きも取り入れたシミュレーションプログラムを世界で最初に開発した真鍋淑郎や、カリフォルニア大学ロサンゼルス校」(UCLA)に在籍し、熱帯域で入道雲を発生させる大気の対流活動のシミュレーションモデルへの導入に関する研究で有名な荒川昭夫、アメリカ大気研究センターに在籍し、同センターの大気大循環モデル開発立ち上げの中心的存在となった笠原彰などです。この三人は気象·気候のシミュレーションの分野ではほとんど歴史上の巨人といって構わないのですが、現在も活発に研究活動に携わっていて、その活力には目を見張らされます
シミュレート・ジ・アース―未来を予測する地球科学 p.29(河宮未知生 著)
地球温暖化が叫ばれる中、今年2021年8月9日に「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第6次評価報告書が発表された。真鍋淑郎氏は、地球温暖化を予測する地球気候モデルを世界に先駆けて開発し、この「地球気候モデル」はIPCCの報告書にある地球温暖化の予測に用いられている。
このIPCCの報告書のタイミングにシンクロしたタイムリーな受賞だと思う。地球環境問題が深刻になりつつある中、ノーベル化学賞やノーベル平和賞も環境に関連する分野での受賞があるのかもしれない。